Sarah Brightman – Dreamchaser [Japanese Edition] (2013)
J. V. Stamic & Sons – Viola Concertos – Pěruška
米 COLUMBIA ML-5004 ワルター指揮コロムビア響、モーツァルト:「ミラベルの庭園にて」
ゴッド・セーヴ・ザ・クイーンとひび割れた骨董
あ、モーツァルトが英語でしゃべっている〜映画『アマデウス』の音楽。ネヴィル・マリナーの2つの演奏。
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デジタル・カメラには複数の写真を撮って、それを合成することで画像に奥行きを出す機能がある機種がある。シャッターを切った時の手ぶれを利用して面白みを出すものだが、フォトショップで加工する時も同じレイヤーの画像を重ねると深みがます。音楽のミックス・テクニックで言う『ダブ』と同じだろう。『ダブ』は同じ音を重ね録りすることでサウンドに厚みを出す。
セックス・ピストルズは『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』で、ギターを最大12回重ね録りして例の熱っぽい音を造った。少ない箇所でも4回重ねて録音している。その間は一度もギターをチューニングし治していない。楽器は時間が経過すると少しずつチューニングが狂ってきます。それで全く同じ演奏をすることで重ね録りされた音にぶれが生じて、厚みと成る。耳の良い人には『シュイーン』という感じで音が廻って聞こえるだろう。1点再生であるのに空間に広がっているような効果が出るので、ミックスする時に楽器の位置をずらして厚みを出そうとしているのならこちらをお試し頂きたい。
“ヒビの入った骨董”ホロヴィッツは、録音では無くてライヴな演奏で”ダブ”効果を出していた。ピアノは鍵盤を叩くとフェルトがピアノ弦を打ち上げることで音が出る仕組みですが、現在のコンサートグランドは一つの音に3本の弦が張ってある。三つの弦が共鳴し合って音に厚みが出るわけ。ホロヴィッツのピアノはこの三つを意図的にチューニングを狂わしてある。これは高域に行くほどにチューニングの狂いは大きく。低域はズーンと重い響きを出す。ホロヴィッツの好んだ音でした。これを古いアナログのオリジナル盤で聞くと、音にシャーッという余韻が伴って聞こえます。再生するオーディオによってはテープヒス・ノイズかと感じられるかもしれません。